引き続き例を見ていきましょう。Autumn Leavesの出だしの部分です。
Chordal Enharmonicsを理解していればmaj7、min7、dom7、min7(♭5)の4種類だけでもTensionの含まれたリッチなサウンドが得られることが分かるかと思います。
Tension noteがボトムに来るvoicingは独特のダークなサウンドが得られますが、音域やvoice leadingの流れによってはコード感が希薄になる場合もあるので注意が必要です。またギターだけで弾いていて良い響きがするvoice leadingでも、ベーシストのラインによっては濁って聴こえたりサウンドしない場合もあります。これはそのまま実際のアンサンブルにおけるvoicingの選択にも当てはまることなので、いろいろトライしてみてください。
さらにこのChordal Emharmonicsはシングルラインのソロにも当てはまります。コードトーンのアルペジオを使うだけでも適度にTensionの含まれたメロディーを作ることができます。
このように、ハーモニーのバリエーションが増えるとアドリブラインのボキャブラリーも同時に増えていくことが理解できるかと思います。繰り返しになりますが、大切なのはvoicingの種類をたくさん覚えることではなく、ひとつのコードの使い方、他の可能性を出来るだけ多く知ることです。
今回はごく基本的なものをご紹介しましたが、他のあらゆるコードにもChordal Enharmonicsは存在します。特にMelodic Minor Mode系のEnharmonics(maj7#5、minMaj7など)はジャズプレイヤーに広く用いられているものです。興味のある方は考察してみてください。